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ノジノジテン その54
『小指の爪』

ぶつけるとイチイチ剥がれて痛い
昨日もテーブルの角にぶつけ
爪が半分剥がれて血が滲んだ

何のためにあるか解らない
むしろ要らないとさえ感じる
小指の爪
無いとどうなるのだろう

恐らくぶつけても大して痛くなくなり
家庭内流血惨事が減り
毎日心穏やかに過ごせるかもしれない
でも
もはや指ではなくなってしまったモノを持て余し
オシャレをしようにもなんだか鈍い思いがしてしまう
あまり見ないようにするだろう
そして家具の角に対して警戒心が薄くなる

痛みをわすれた小指

人々は足元を気にしなくなり
ゲンコツよりも蹴飛ばす方が多くなる
足の暴力が横行する

デザイナーズ建築と称して
床の複雑な角の多い家が立ち並び
街の道路もあわせて微妙な段差が出来る
つまずき健康法などと躓く事を良しとする世の中になり
暴力と凸凹の暮らしにくい世の中になってしまう

とまでは思わないけど
案外小指の爪がこの世界を支えているのかも知れない
計り知れない存在感がある

小指の爪の痛みがきっと必要なんだ

そう思わなきゃ
昨日から痛い小指の爪が許せないんだ



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